牧場を出てすぐ、

アオは全速力で走りましたが、

しばらくすると速力を弱めました。

 

「アオ、あたしは大丈夫だよ。」

 

ソラは、アオが彼女のために

あえてゆっくりにしたのかと思いました。

 

「違うんだ。ボクはそんなに長いこと速く走れないんだよ。」

 

そうです、馬はそんなに長時間最高速では走れないのです。

 

「ふーん、そうなんだ。」

 

ソラは、少し物足らないような気もしましたが、

自分はもっと頑張れないことを思いだし、

 

「ゴメン。ひと休みしようよ。」

 

と、優しく声をかけました。

気がつけば、陽もとっぷりと暮れています。

 

「ありがとう、ソラ。」

 

アオが、そう言って歩みを止めたその時、

 

『ひゅるるるるる・・・ど〜ん!!パラパラパラ・・・』

 

すごい音が聞こえてきました。

2人は肩をすくめ、両目をかたく閉じました。

もう少しで我を忘れそうになるのはこらえたものの、

はずみでソラは地面に落っこちてしまいました。

ビックリして身構え、あたりをキョロキョロしていると、

 

「ソラ、あれ見てごらんよ。」

 

アオが夜空をあごで指しています。

ソラは言われるがまま見上げました。

すると、もう一度大きな音がし、

まっくらな空にまあるく大きな花が咲きました。

 

「うわぁ、きれいだね。」

「すごいね。」

 

2人は初めて見る美しい光景に、

いつまでも見とれていました。




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