★青空にいっぱい〜その2★

初めての花火



牧場を出てすぐ、
アオは全速力で走りましたが、
しばらくすると速力を弱めました。

「アオ、あたしは大丈夫だよ。」

ソラは、アオが彼女のために
あえてゆっくりにしたのかと思いました。

「違うんだ。ボクはそんなに長いこと速く走れないんだよ。」

そうです、馬はそんなに長時間最高速では走れないのです。

「ふーん、そうなんだ。」

ソラは、少し物足らないような気もしましたが、
自分はもっと頑張れないことを思いだし、

「ゴメン。ひと休みしようよ。」

と、優しく声をかけました。
気がつけば、陽もとっぷりと暮れています。

「ありがとう、ソラ。」




                                  イラスト:(C)'あ'



アオが、そう言って歩みを止めたその時、

『ひゅるるるるる・・・ど〜ん!!パラパラパラ・・・』

すごい音が聞こえてきました。
2人は肩をすくめ、両目をかたく閉じました。
もう少しで我を忘れそうになるのはこらえたものの、
はずみでソラは地面に落っこちてしまいました。
ビックリして身構え、あたりをキョロキョロしていると、

「ソラ、あれ見てごらんよ。」

アオが夜空をあごで指しています。
ソラは言われるがまま見上げました。
すると、もう一度大きな音がし、
まっくらな空にまあるく大きな花が咲きました。

「うわぁ、きれいだね。」
「すごいね。」

2人は初めて見る美しい光景に、
いつまでも見とれていました。



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