まんなかのお兄ちゃん「クロ」のいる
大きな牧場が見えてきました。
入口に続くポプラの並木道には、
たくさんの車が行列を作っています。
大勢の人がごったがえす牧場の入口に着くと、
そこには大きな看板がありました。
『第3回・草競馬大会』と書かれています。
もうすっかりアオと仲良しになった
トラ兄ちゃんが言いました。
「競馬だってよ!おいアオ、おまえ足速いんだろ?」
アオが何かこたえる前にトラは続けて言います。
「だったら飛び入り参加してみろよ。」
「えっ?」
「そうよ、アオは速いもん。」
「だって・・・。」
トラばかりかソラもまでもニコニコ言うので、
アオは少し困ってしまいました。
「それに優秀な騎手もいるしな。」
トラがニヤニヤしながらソラに言います。
その小ばかにした態度にソラはほっぺをプッとふくらませました。
イラスト:(C)'あ'
そこへ牧場主らしき立派なおじさんが、
これまた立派な栗毛馬をひいてやってきました。
「おやおや、こりゃなかなかの馬じゃないか。
これならうちのチェスナットといい勝負ができそうだな。」
アオを見るなりおじさんは言いました。
「それに猫を乗せてるなんておもしろいな。」
おじさんは、アオの背にいるソラとトラを見て笑い、
アオの鼻面をなでながら、
「よし、猫の騎手同士で競争だぞ。」
勝手に話を決めてしまいました。
おじさんのとなりにいる栗毛馬が、
黄金色に輝くたてがみを振って前掻きをしています。
栗毛馬がアオに言いました。
「僕には勝てないよ、しろうと馬じゃ無理さ。」
「なんだと!勝負しようじゃないか!」
アオでもソラでもなくトラが言いました。
「ずいぶん威勢がいい兄さんだね。」
栗毛馬は静かに笑うとクルリと身をひるがえし、
おじさんと一緒にスタート地点に向かって歩き出しました。
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