★青空にいっぱい〜その1★

お気に入りの場所



アオがせっかくしゃがんだのに、
ソラはその背中に乗ろうとしません。

「馬の背中はコワイもん。」
「いつも牛には乗ってるのに。」
「だって・・・。」
「ボクを信じて。」

ソラは、2人がお友達だったことを思い出しました。

「わかった!乗せて!」

決心すると、お母さん牛よりも
今はずっと低くなっているアオの背中に、
ピョンと飛び乗りました。

「よし、じゃあ出発だ。」
「どこに行くの?」

アオは、だまってニコニコするばかりです。

「もう、もったいぶらないの!」
「えへへ・・・」




            イラスト:(C)'あ'



ソラは、あきらめて聞くのをやめました。
アオの背中はお母さん牛よりも高く、
思ったほど揺れません。
もしかしたらアオが気をつかっているのかもしれません。

「さぁ着いた。ここだよ。」

アオがとまったのは、牧場にある小高い丘の頂上でした。
ソラは、あんまり遠いので今まで来たことがなかった場所です。

「ここはお空がいっぱい見えるんだよ。」

アオの言うとおりでした。
丘陵地にひろがった牧場の緑と、
いく本かの樹木以外は青空しか見えません。

「ぼくはここが大好きなんだ。」

アオが背中のソラを見やると、
ソラがたてがみにその顔を埋めていました。



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