「青空がいっぱいだね。」
ソラは涙をかくしていたので、
少し鼻にかかった声で言いました。
アオは青空を眺めたまま、
「ソラは兄弟に会いたいんじゃないの?」
と聞きました。
するとソラの目から、
さっき止めた涙が再びあふれだし、
「お母さんも兄弟みんなも、
ここには誰もいないんだもん。」
ソラはそう言うと、アオの背中から飛び降り、
牧草の上にちょこんと座りました。
イラスト:(C)'あ'
アオもとなりに腰を下ろして、
「だったら一緒に探しに行こうよ。」
と言いました。
ソラは少し疑った様子でこたえます。
「そんなのできっこないよ。だってアオは競走馬だもん。」
「ここにボクの居場所はないから大丈夫だよ。」
「そんなことないよ。」
「こないだ牧場のお父さんがため息ついてね、
お金がないから馬を減らさなきゃなんない、
って言ってるのを聞いちゃったんだ。」
もし馬を減らすなら、
競走馬失格のアオからであることはすぐにわかる話です。
2人は、いっぱいの青空を黙って眺めました。
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