★青空にいっぱい〜その1★

いっぱいの青空



「青空がいっぱいだね。」

ソラは涙をかくしていたので、
少し鼻にかかった声で言いました。
アオは青空を眺めたまま、

「ソラは兄弟に会いたいんじゃないの?」

と聞きました。
するとソラの目から、
さっき止めた涙が再びあふれだし、

「お母さんも兄弟みんなも、
 ここには誰もいないんだもん。」

ソラはそう言うと、アオの背中から飛び降り、
牧草の上にちょこんと座りました。




                                  イラスト:(C)'あ'



アオもとなりに腰を下ろして、

「だったら一緒に探しに行こうよ。」

と言いました。
ソラは少し疑った様子でこたえます。

「そんなのできっこないよ。だってアオは競走馬だもん。」
「ここにボクの居場所はないから大丈夫だよ。」
「そんなことないよ。」
「こないだ牧場のお父さんがため息ついてね、
 お金がないから馬を減らさなきゃなんない、
 って言ってるのを聞いちゃったんだ。」

もし馬を減らすなら、
競走馬失格のアオからであることはすぐにわかる話です。

2人は、いっぱいの青空を黙って眺めました。



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